2022(令和4)年7月15日,初めて「線状降水帯」の予測する情報が発表されました.
一つの積乱雲は発生から消滅するまで30分〜1時間ほ,その間の雨量は50mm程度ですが,それが次々発生し風に流されることで線状の範囲で長時間,数100mmの雨を降らすことになります.これが「線状降水帯」です.
福岡県朝倉市などに大きな被害をもたらした2017年九州北部豪雨は,積乱雲が線状に次々と形成されるため, 結果的に積乱雲からもたらされる豪雨が長時間継続することになる,線状降水帯 に注目が集まった激甚な災害でした.その前に2014年に広島豪雨,2015年に鬼怒川などを襲った関東・東北豪雨に続いて発生したもので,線状降水帯に関する関心が一層強まり,その現象の正確な把握,発生メカニズム解明の必要性が強く認識されるきっかけとなりました.
気象庁では,令和3年(2021年)6月の「顕著な大雨に関する気象情報」の運用開始を経て,令和4年(2022年)6月に「線状降水帯予測」の運用を開始,令和4年(2022年)7月15日10時30分 気象庁から線状降水帯の予測が初めて気象情報として発表されました.
「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第5号」,及び「大雨と突風に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報 第5号」において『線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があります。』と発表されました.気象庁の基準を満たすような線状降水帯は発生しなかったとみられていますが,大きな被害をもたらしました.
<顕著な大雨に関する気象情報の発表基準>
1. 解析雨量(5kmメッシュ)において前3時間積算降水量が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
2. 1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
3. 1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
4. 1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過
※ 上記1~4すべての条件を満たした場合に発表します。
※ 情報を発表してから3時間以上経過後に発表基準を満たしている場合は再発表するほか、3時間未満であっても対象区域に変化があった場合は再発表します。
<線状降水帯予測とは>
「顕著な大雨に関する情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性が高いと予測された場合に、半日程度前から、気象情報において呼びかけるもの.地方予報区は全国を11に分けた,他の予報などに比べ広い範囲が対象となります.
線状降水帯の予測は難しくまだ確率は高くありませんが,線状降水帯とならなくても大雨になる危険性は高い状況です.そのため,危機感を持って早目に判断・行動し,減災につなげてもらえるよう,予測の半日前に「呼びかけ」として発表されます.すぐに避難をしなければならないものでは有りませんが,ハザードマップや避難所、避難経路の確認,明るいうちの避難などを行い,自分で判断していくことが大切です.
<関連記事>
「2020(令和2)年九州豪雨」#今日は何があった日?
「2017(平成29)年九州北部豪雨」#今日は何があった日?
<参考>
気象庁HP 気象業務はいま 2022 トピックスⅡ 線状降水帯による大雨災害の被害軽減に向けて
キキクル リアルタイムの土砂災害,浸水害,洪水害,洪水浸水想定区域を地図上で見られます.
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