最終更新2022.3.23
目次
2022.3.23 2022.3.16地震と電力需給のひっ迫警報について
1.火力発電所の発電停止に伴う電力需給のひっ迫警報と節電の要請
3.2011年3月11日の大地震による東日本大震災でも,造成地の被害が多発
2022.3.17 速報 2022.3.16地震発生
更新2022.3.23
2022年3月16日に福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が起こり,最大震度は宮城県,福島県において6強であった.
この地震では、東北新幹線白石蔵王駅の少し南(約2km)において17両編成の内16両が脱線したほか,様々な被害が発生した.広域において,電気や上水道などのライフラインに支障をきたした.
東京や千葉,埼玉など首都圏においても,揺れが長く続き,長周期の地震動に驚かれた人々も多かったのではないか.東京でも停電が広い範囲で起こったが,これはブラックアウトを避けるための計画停電であったようである.その他にも時間がたつにつれて様々な被害状況が明らかになりつつある。
地震発生から6日目の本日3月22日,電力需給のひっ迫が予想されると,東京電力、東北電力管内に節電の要請がなされた(政府の電力需給ひっ迫警報は前日の夜).戸田市においても戸田市長自身が防災無線を通じて節電を呼び掛けた.地震で発電できなくなった火力発電所の復旧が遅れているため,気温低下が予想される22日の夕刻が最も電力需給がひっ迫するということから、初めての電力需給ひっ迫警報,節電の要請がなされたということだ.この火力発電所には福島県沿岸に位置する複数の石炭火力発電所が含まれている.これらは東北電力や東京電力に電力を供給している.詳しい情報は明らかでないが,原発だけではないことに注意が必要だ.
今回の地震は,マグニチュード7.4,震源の深さは57㎞で,昨年もこの近くで地震が発生したほか,過去にさかのぼると,1978年の宮城県沖地震(同年6月)やその直前の2月に発生した前震と思われる地震(福島県沖地震)の震源もそれほど離れていない.
そこで,かなり年配の人々しか記憶にないはずの1978年宮城県沖地震の被害の一端を,当時地震直後から調査にあたられた陶野郁雄氏の資料から紹介して見たい.
陶野郁雄
この地すべり災害は、白石蔵王駅の近くの白石緑が丘団地内の造成中の土地がこの地震によって崩壊・地すべりを発生させたものである.白石市緑が丘では緑が丘住宅の南側にあたる舗装道路から觀福寺付近に向けてほぼ北から南へ崩れ,滑っていった.橙色のシート付近にいた一人の青年が巻き込まれ行方不明となり,その後死亡が確認された.
東日本大震災でも,丘陵地を造成した地域での斜面災害が多発した.丘陵地の尾根を切り,谷を埋めて平坦にする(切り盛り)工法は各地に沢山行われている.その谷埋め部において被害が多く発生していることは従来から指摘されてきた(繰り返される盛土宅地地すべり).
丘陵部での切り盛りによって大規模な団地の用地が造成,谷埋めの部分で地すべりなど地盤の変調が起こるケースが多いとされた.
谷埋め盛土地盤の水を抜くために埋設してある排水管などのメインテナンスがうまくいっていない,という指摘がなされている.
今回の地震によって何らかの地盤の変状がなかったかどうか詳細に点検し,見極める必要があるだろう.
地震によって引き起こされた盛土した宅地での地すべりは,近年多数報告されている.1978年宮城県沖地震,1995年阪神大震災,2004年新潟県中越地震,2016年熊本地震,2018年北海道胆振東部地震,など.
今回も類似の兆候(良く見ると亀裂がある,家が傾いているなど)はないか、注意して見ていく必要がある.
参考記事
繰り返される盛土宅地地すべり(今日は何があった日?>3月11日は2011(平成23)年東北地方太平洋沖地震 東日本大震災があった日>2.地すべりと津波堆積物)
更新2022.3.17
詳しい情報については17日1時30分地震火山部発表の「令和4年3月16日23時36分頃の福島県沖の地震について」をご覧ください.
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